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INTRODUCTION

軍事クーデターで政権を掌握し、独裁者と批判されるほど強大な権勢を振るったパク・チョンヒ大統領。そんな彼が側近の中央情報部部長キム・ジェギュによって暗殺された。本作は、このセンセーショナルな事件の裁判と、10.26大統領暗殺から12.12軍事クーデターという韓国近代史の中でも大きな事件に巻き込まれた3人の男を、一部フィクションを交えて史実に基づき描いた作品だ。

この韓国史上最悪の裁判とも言われる大統領暗殺裁判を、弁護する者、裁かれる者、裏で操る者、それぞれの目線でドラマチックに作り上げたのは、映画『王になった男』の監督チュ・チャンミン。前作で見せた手腕を今作でも遺憾なく発揮し、当時に生きた人々の声にならない悲痛な叫びを鮮明に描き出している。

キャストには韓国映画ドラマ界を代表する俳優たちが集結。映画オリジナルのキャラクターであり、勝つためには手段を選ばない主人公の弁護士チョン・インフ役にはドラマ「賢い医師生活」のチョ・ジョンソクが、そのチョン・インフが弁護する愚直な軍人パク・テジュ役には本作が遺作となったイ・ソンギュンが、そして裁判を裏で操る合同捜査団長チョン・サンドゥをユ・ジェミョンが演じ、「チョン・ドゥファン」をモデルにしたこの役で【第61回百想芸術大賞 映画部門 助演男優賞】を受賞している。

当時行われた実際の裁判は、何度も密かに法廷へメモが届けられ「メモ裁判」と呼ばれるほど、不当なものだった。また、パク・テジュのモデルとなったパク・フンジュ大佐の裁判は、被告人の中で唯一の軍人であったがために単審制が適用され、最初の公判からわずか16日後に最終判決が下されることとなり「性急裁判」と呼ばれている。

これまでにも『KCIA 南山の部長たち』ではパク・チョンヒ大統領暗殺を、『ソウルの春』では軍事クーデターを、『タクシー運転手』では光州事件を描くなど、数々の史実に基づいたフィクション映画の傑作を生み出してきた韓国。本作ではこれまでに描かれることのなかった韓国史上最悪の政治裁判の裏側を明かしている。

STORY

CAST

一人の男を救うために裁判に身を投じた者・弁護士チョン・インフ役
チョ・ジョンソク
韓国史上最悪の政治裁判に飛び込んだ法廷闘争の第一人者弁護士チョン・インフ。勝つためなら虚偽の状況も平気で作り、勝訴することで有名な彼は、10.26大統領暗殺事件に巻き込まれ、裁判を受けることになった中央情報部長の随行秘書官パク・テジュの弁護を担当することになる。パク・テジュと対面したチョン・インフは、この裁判がスムーズに進まないことを直感するが、予想以上に不利な状況に直面し、怒りを覚える。彼はこれに屈することなく、正当な裁判のために手段や方法を選ばず、全力を尽くす。
俳優チョ・ジョンソクは、2004年にミュージカル「くるみ割り人形」でデビューした後、「ヘドウィッグ・アンド・アングリー・インチ」など様々なミュージカル作品に出演し人気となり、映画『観相師』、『EXIT』、ドラマ「嫉妬の化身」、ドラマ「賢い医師生活」シリーズ、ドラマ「魅惑の人」など分野とジャンルを超えて活躍している。今回の『大統領暗殺裁判 16日間の真実』では、熱血弁護士チョン・インフ役として今までに見たことのないキャラクターを演じ、観客に深い印象を残す。
FILMOGRAPHY
『PILOT』(2024)※第61回百想芸術大賞 映画部門 主演男優賞受賞、『EXIT』(2019)、『スピード・スクワッドひき逃げ専門捜査班』(2019)、『麻薬王』(2018)、『あの日、兄貴が灯した光』(2016)、『時間離脱者』(2016)、『造られた殺人』(2015)、『私の愛、私の花嫁』(2014)、『王の涙 イ・サンの決断』(2014)、『観相師』(2013)、『建築学概論』(2012)、「魅惑の人」(2024)、「賢い医師生活」シリーズ(2020)、「緑豆の花」(2019)、「トゥー・カップス ただいま恋が憑依中!?」(2017~2018)、「嫉妬の化身 恋の嵐は接近中!」(2016)、「ああ、私の幽霊さま」(2015)その他多数
命令により暗殺事件に巻き込まれた、裁かれる者・軍人パク・テジュ役
イ・ソンギュン
上官の命令により大統領暗殺事件に巻き込まれ、裁判を受ける中央情報部長の随行秘書官パク・テジュ。10.26大統領暗殺事件に関与した人物の中で唯一の軍人の身分で、三審制ではなく単審制で判決が確定される状況に陥る。自身の弁護を担当し奮闘する弁護士チョン・インフの前でも、生死を問わず最後まで軍人としての堅実さを失わない人物で、意図せずにチョン・インフを困惑させることもあるが、次第にその内面に秘めた本音を吐露していく。
様々な作品で活躍した俳優イ・ソンギュンが、韓国近代史を揺るがす事件に巻き込まれた愚直な軍人パク・テジュを演じた。本作が彼の最期の新作となる。
FILMOGRAPHY
映画 『プロジェクト・サイレンス』(2024)、 『スリープ』(2023)、『キングメーカー大統領を作った男』(2022)、『パラサイト 半地下の家族』(2019)、『PMCザ・バンカー』(2018)、『王様の事件手帖』(2017)、『最後まで行く』(2014)、『ソニはご機嫌ななめ』(2013)、 『へウォンの恋愛日記』(2013)、『僕の妻のすべて』(2012)、『火車 HELPLESS』 (2012 ) その他多数
権力のために裁判を動かす、裏で操る者・合同捜査団長チョン・サンドゥ役
ユ・ジェミョン
巨大権力の中心である合同捜査団長チョン・サンドゥは、密室で10.26大統領暗殺事件の関係者たちの公判を盗聴し、裁判長に秘密のメモをリアルタイムで送り、裁判を左右する。不正な裁判を主導し、パク・テジュの命を左右するだけでなく、彼を弁護する弁護士チョン・インフ、そして彼が所属する弁護団にまで目に見えない権力を振るう。
ユ・ジェミョンは、ドラマ「秘密の森」、「梨泰院クラス」、「剣の詩」や映画『声もなく』、『キングメーカー 大統領を作った男』などで代替不可能な熱演を繰り広げ、作品ごとに異なるキャラクターを100%消化した。本作では、チョン・ドゥファンをモデルにした、権力のために裁判を動かす次期独裁者を狙うチョン・サンドゥ役を通じて、独歩的なカリスマ性を発揮する。
FILMOGRAPHY
『ハント』(2022)、『キングメーカー大統領を作った男』(2021)、『声もなく』(2020)、『ビースト』(2019)、『悪人伝』(2019)、『マルモイことばあつめ』(2019)、『麻薬王』(2018)、『風水師王の運命を決めた男』(2018)、『ゴールデンスランバー』(2017)、『最後まで行く』(2017)、「梨泰院クラス」その他多数

DIRECTOR

監督
チュ・チャンミン
映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』は、韓国で1,232万人の観客を動員した映画『王になった男』で”1000万動員監督”の仲間入りを果たしたチュ・チャンミン監督の新作だ。この映画を通じ、確かなストーリーテリングと重厚なメッセージ、演出力を認められたチュ・チャンミン監督は、名実ともに韓国最高のストーリーテラーである。歴史の中の人々が知らない隠された人物や事件などを、優れた洞察力をもとに映画的な想像力を加えて再構成し、大衆に興味深い物語として伝える。

チュ・チャンミン監督の前作『王になった男』は、朝鮮王朝実録[光海君日記]の中の「隠さなければならないことは朝報に出すな」という一行から始まったフィクション時代劇である。歴史から消えた15日間の隠された物語をエキサイティングに描き、観客の好評を得た。『大統領暗殺裁判 16日間の真実』も1979年に起きた10.26大統領暗殺事件と12.12事件、その間に存在した裁判の全貌を明らかにした。歴史の渦中に巻き込まれたが、あまり知られていなかった人物をモチーフにパク・テジュというキャラクターが誕生し、裁判に飛び込んだ熱血弁護士チョン・インフの視線を通して人物が置かれている状況を解き明かしていく。チュ・チャンミン監督が息吹を吹き込んだ二人のキャラクターは、スクリーンを通して観客の視線を魅了する。チュ・チャンミン監督は、「法廷シーン以外の部分は脚色が行われた」と述べ、ファクトを基に映画的な面白さを加えたことを言及している。チュ・チャンミン監督の「本作は人についての話、人が持つべき姿勢についての話だ」という言葉のように、一時代とその時代を生きた人を通してただ歴史を語るだけでなく、時代を問わず、人が持つべき姿勢についての話としても、観客に重厚なメッセージを投げかけるだろう。
FILMOGRAPHY
映画『七年の夜』(2018)、『王になった男』(2012)、「拝啓、愛しています」(2011)など

PRODUCTION NOTE

映画『王になった男』で、韓国観客動員数1000万人を突破した
チュ・チャンミン監督の最新作は、知られざる歴史の裏側に生きる人々を描く!

本作は、1979年10月26日に起きたパク・チョンヒ大統領暗殺事件の裁判と、歴史的事件に巻き込まれた3人を中心とした物語である。上官の指示で大統領暗殺事件に巻き込まれ、裁判を受ける中央情報部長の随行秘書官「パク・テジュ」(イ・ソンギュン)、彼を救うために裁判に飛び込み、手段を選ばず全力を尽くす弁護士「チョン・インフ」(チョ・ジョンソク)、そして不正な裁判を主導し、危険な野望のために軍事反乱を起こす巨大権力の中心である合同捜査団長「チョン・サンドゥ」(ユ・ジェミョン)がその主人公だ。

パク・テジュを救うため裁判を引き受ける弁護士チョン・インフは、当時の裁判記録と裁判に参加した人物からインスピレーションされた架空の人物で、年齢から家族関係、彼にまつわるエピソードなど、ほとんどが映画的な想像力で作られた。

また、命令によって大統領暗殺事件に巻き込まれ、裁判を受けることとなった中央情報部長の随行秘書官のパク・テジュは、実在の人物であるパク・フンジュ大佐をモチーフに脚色されたキャラクターだ。チュ・チャンミン監督はこのキャラクターについて「私自身もよく知らなかったパク・フンジュ大佐について資料調査をしていく中で、この人を一度は世の中に引きずり出さなければならないと思った」と明かしている。

権力のために裁判を動かしたチョン・サンドゥは、「チョン・ドゥファン」をモデルにしているが、当時の権力の実勢と国の権力者として描くことに重点を置いた。チョン・サンドゥを演じたユ・ジェミョンは、「(チュ・チャンミン)監督が一瞬一瞬最高のカットを作るために集中する姿を見て、そのエネルギーにとても驚いた」と話し、ドラマチックな面白さと完成度を高めた本作への期待感を語った。

チュ・チャンミン監督は前作『王になった男』で、歴史に埋もれた人物に注目し、ドラマチックに人物を描くことが得意であると証明したが、『大統領暗殺裁判 16日間の真実』で再びそれを証明している。韓国を揺るがした歴史的大事件と、その中に巻き込まれた人々の物語を映画化するにあたり監督は「歴史上の有名な大事件よりも、その渦中にいる人々の知られざるサイドストーリーのほうが、私たちの心を打つかもしれないと思った」と明かしている。

細かなディテールにて完成された法廷から、現実に基づいた軍事裁判まで!
観客の目の前で繰り広げられるようなリアルな裁判シーン!

本作における法廷と軍事裁判の過程は、第二の主人公と言っても過言でないほど重要な要素である。本作は、1979年10月26日に大統領が暗殺された後、大統領暗殺に関与した中央情報部長随行秘書官パク・テジュの裁判を中心に展開されるからである。チュ・チャンミン監督をはじめとする制作スタッフは、本作が観客の心をつかみ、長く記憶に残る作品にするためには、一番重要な場所である法廷を、何よりもリアルに作りこまなければならないと考え、現実に基づいて時代を表現するための制作を試み、さまざまな分野で研究を重ね、苦労の末にこの場所を完成させた。

まず制作スタッフは、当時の法廷シーンを実際見たことがないため、残っている写真を参考にしながら法廷を再現するという作業を行った。当時の法廷のスケールをスクリーンで表現するため美術チームと相談し、テーブルを直線にするか曲線にするか試行錯誤し、それらを比較してもみた。キム・ボムク美術監督は、「見えない権威と巨大な力に自信を持って立ち向かうイメージを作りだしたく、広い法廷を包み込むような感じを出すために高いテーブルを作った」と語った。その結果、座っている裁判官を見上げるだけで堂々としていることを示すことに成功した。また、チュ・チャンミン監督をはじめとするスタッフ、俳優たちは、想像力と緻密な計算によって完成された法廷に驚嘆し、期待を高めていた。

裁判をよりリアルに表現するために、制作スタッフはディテールまで見逃さなかった。チュ・チャンミン監督が「裁判シーンは映画の中で最も重要なシーンのため、実際に起こったことをセリフや出来事で表現するために、撮影前に当時の資料をたくさん調べた」と言うように、映画の中で登場する法廷シーンは既存のドキュメンタリーに基づき弁護人や傍聴人の位置、被告人の人数まで完璧に調べ撮影をした。特にチュ・チャンミン監督は、「法廷のひとつのシーンを撮影するために200人近くが動員され、130人のエキストラが他の俳優と一緒に現場を手伝ってくれた」と語っており、映画の見どころである法廷シーンへのディテールや規模感に対する熱意はすごかった。また、法廷シーンは、過去の出来事を再現するだけでなく、その時々の登場人物の心情を引き出すという機能も果たしている。ホン・ジェシク撮影監督は、「全体的な状況な雰囲気を見せるために、広いショットで撮影したが、法廷シーン終盤になるにつれてクローズアップを多用し、人物の感情にフォーカスすることで差別性を持たせた」と語り、映画への関心を高めている。

徹底的なリサーチにより蘇った1979年!
特殊レンズの使用、時代や空間をデザインすることで、臨場感をあふれさせ没入感を高めている!

『大統領暗殺裁判 16日間の真実』の製作スタッフは、1979年を再現するために徹底的なリサーチを行った。その時代をスクリーンに完璧に再現するために、彼らは俳優の演技やトーン、美術や衣装、撮影などすべての分野においてディテールを逃すことなく、当時の時代をスクリーンに映すことにこだわった。

チュ・チャンミン監督は、当時の映像で主に使われていたフィルムの風合いを出すため、ホン・ジェシク撮影監督と話し合い、『アナモフィックレンズ』という特殊なレンズを使うことにした。高価な『アナモフィックレンズ』は通常、他の普通のレンズと一緒に使うことが多いが、本作では、時代の雰囲気をより完璧に作り出すために出すために100%活用した。また、1970年代後半の雰囲気を再現するために、デジタル感のあるLED照明は使わず、温かみのある暗い感じの白熱電球を使うようにした。特にキム・ジェグン照明監督は「最近はハロゲンランプの街灯や白熱電球がなかなか手に入らないので、電球やランプをあちこち探したり、自分たちで作ったりした」と語り、当時の雰囲気を出すための努力を明かした。

全体的な雰囲気を照明で作り出したのであれば、ディテールはキャラクターの衣装や空間を埋める小道具など美術で埋めた。まず、階級がすべてである軍人という身分を視覚的に強調するため、衣装チームは服のしわや軍章の細部まで当時の資料を研究し、細かいディテールまで神経を使い作り上げた。また、チュ・チャンミン監督は、チョン・インフが所属する弁護士事務所は、「時代性を表現したかった場所」だという。 映画の完成度を高めるため、内部は美術チームが作り上げた満足のいくセットで埋め尽くされ、外部はソウルや地方の様々な場所を使って一つの地域として見られるように作られている。

南漢山城(ナムハンサンソン)陸軍刑務所の応接室や宮亭洞(クンジョンドン)も見逃せない場所だ。実存していた場所ではあるがそれらの場所に関する資料が残っていないため、想像だけでその場所を作り出さなければならなかった。チュ・チャンミン監督は、光州にある旧軍病院の廊下などの空間を見て、映画ならではの時代が感じられると判断し、その場所を背景に鉄格子や廊下をなどの空間を補い、応接室を完成させた。また、宮亭洞は、銃撃戦のシーンや街並みが出てくるシーンなど、さまざまなエリアで撮影を行い、それらを組み合わせて1つのエリアに見えるように作り上げた。